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【PLAY BACK LONDON】多くの観客が熱狂、日本は5個の金メダルを獲得

オリンピックスタジアムは連日超満員

2012年の8月末から9月にかけて開催されたロンドンパラリンピック。164か国から4,300人の選手が参加。パラリンピック発祥の地であるイギリスで、連日大観衆がスタジアムに駆けつけ、声援を送った。

なかでも印象深かったのは、超満員のオリンピックスタジアムだ。地元イギリスのスター選手が登場すると、スタジアムの360度あらゆる角度から無数のフラッシュが光り、8万人の観衆がどよめく。朝も夜も多くの市民が訪れ、己の残存機能を最大限に発揮するアスリートたちのパフォーマンスに熱狂した。

大歓声で沸いたのは、陸上競技だけではない。自転車トラック種目会場のベロドロームは自転車の楽しみ方を知る観客の拍手が鳴りやまず、エクセルのパワーリフティング会場は、記録が出るたびにスタンディングオベーションに包まれ、ウィルチェアーラグビーの会場は決勝トーナメント進出がかかる大一番で地元イギリスを下した日本に、大きな拍手が送られた。

日本選手団は16個のメダルを獲得

そんな中、北京大会を上回るメダル数と団体競技のメダル獲得を目標に掲げた日本選手団は、金メダル5個、銀メダル5個、銅メダル6個の計16個のメダルを獲得している。

日本の金メダル第一号は、柔道男子100kg超級の正木健人。初戦でアテネ・北京大会の王者イルハム・ザキーエフ(アゼルバイジャン)に一本勝ちを収めると、その後も攻めの姿勢を貫き、金メダルを獲得。初出場の重圧をはねのけ、試合後はホッとした表情を見せた。

16個のメダルのうち、半数の8個を獲得したのは水泳チーム。女子100m背泳ぎでは、視覚障がいクラスの秋山里奈が念願の金メダルを獲得。また、ロンドン大会から復活した知的障がいクラスの田中康大が、男子100m平泳ぎで1分06秒69の世界新記録を樹立。金色に輝くメダルを手にし、報道陣の前で何度もポーズを取るなど、表彰後のパフォーマンスも話題になった。

車いすテニスの国枝慎吾は、右ひじの手術から見事な復活劇で、男子シングルス史上初の2連覇を達成。ライバルのステファン・ウデ(フランス)を6-4、6-2のストレートで下し、優勝を決めた瞬間、雄叫びを上げた。

団体競技史上初の金メダル

特筆すべきは、日本にとって団体競技史上初の金メダルをもたらしたゴールボール女子の活躍だろう。鉄壁の守備を武器に、決勝まで勝ち上がった日本は、強豪中国を1-0と完封。試合後、苦しんだ末に掴んだ勝利の喜びを、からだいっぱいに表現した。

史上最高のパラリンピック

ロンドンパラリンピック閉幕の翌日、ロンドン市内ではパレードが行われ、100万人の市民が、連日大会を沸かせた英雄たちを一目見ようと沿道に詰めかけた。このパレードは、オリンピックとパラリンピックの「チームGB」合同で行われたもので、大会の大成功を印象付けた。そして、ロンドン大会は史上最高のパラリンピックとして語られるようになった。

4年前、日本では銀座でオリンピック選手のメダリストパレードが行われたが、その熱狂の中にパラリンピック選手はいなかった。ロンドン大会の翌年、東京大会の開催が決まり、パラリンピック選手や障がい者スポーツに関わる人たちを取り巻く環境も大きく変化。9月のリオパラリンピック後は日本でも、オリンピック・パラリンピックの合同パレードが行われるとされている。

リオ閉幕後は、冬季のピョンチャン大会を経て、いよいよ自国開催の東京パラリンピックがやってくる。史上最高といわれるロンドン大会を超える盛り上がりに期待しつつ、地球の裏側で開催されるリオパラリンピックに注目してみてはいかがだろう。

text  by Asuka Senaga , photo by X-1

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