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水泳の木村らが帰国「4個のメダルより金メダルが欲しかった」

リオパラ水泳日本代表メダリスト帰国会見

日本代表選手団のなかで、陸上チームと並び最多の、7個(銀2個、銅5個)のメダルを獲得した“トビウオパラジャパン”が、21日午後、日本に帰国。50m自由形(運動機能障がいS9)で銅メダルを獲得した山田拓朗、50m自由形と100mバタフライで銀、100m自由形(以上、視覚障がいS11)100m平泳ぎ(視覚障がいSB11)で銅メダルを獲得した木村敬一、100m背泳ぎ(知的障がいS14)で銅メダルを獲得した津川拓也、200m個人メドレー(同SM14)で銅メダルを獲得した中島啓智の4選手が揃い、メダリスト会見が開かれた。

「100m背泳ぎ、1分3秒42、銅メダルでした。応援ありがとうございました」と丁寧に話した津川、「銅メダルを獲得したことはとても誇りに思いますし、満足しています」と笑顔で語った中島の2選手に対し、4回目のパラリンピック出場で自身初のメダルを獲得した山田、3回目のパラ出場で4個のメダルを獲得した木村の2選手の笑顔は少なかった。「メダルを獲得することはできたが、どちらかというと悔しい大会となった」(山田)、「4個のメダルよりも金メダルが欲しかったというのが心からの思い」(木村)と悔しさをにじませた。

以下、帰国会見での選手、峰村史世監督のコメント。

山田「東京では1個飛ばして金を目指す」

水泳帰国会見
水泳チームの主将を務めた山田。初メダルを獲得したが、その視線はさらに上を見据えている

100m自由形の決勝に関しては内容的にいいところが一つもなく、自分自身戸惑いました。ですが、スピードは出ていたので、気持ちを切り替え、自信を持って翌日の50mに臨んだところ、自己ベストを更新して銅メダルを獲得することができました。ただ、目標タイムを25秒台としていたので、そこに届いていないということもあり、タイムにしても、順位にしても、まだまだ詰めが甘いな、と。メダルを獲得することができましたが、どちらかというと悔しさの残る大会となりましたので、東京大会に向けて、しっかりとそのあたりを強化していきたいと思っています。北京大会の最高順位が5位、ロンドンが4位、リオが3位とひとつずつ順位を上げてきているので、(木村)敬一君には「東京は2位?」と言われるんですけれども(笑)、そこは1個飛ばして、金を目指して。50mはもちろん、100m自由形でも、複数種目でメダルを獲得できるよう頑張りたいと思います。

木村「4個のメダルより金メダルが欲しかった」

水泳帰国会見
日本選手としては個人最多の4個のメダルを獲得した木村。大会中は疲労や体調不良と戦っていた

 最初の50m自由形は予選から26秒台、決勝では自己ベストを更新し銀メダルに手が届いたということで、調子もよく、波に乗れたかなと思ったのですが……。翌日から徐々にではありますが、疲労ですとか、コンディションを崩し始めてしまい、3日目のバタフライに関しては、世界ランキング1位ということで、何としても金メダルを獲りたいと臨んだのですが、ライバルの選手に惜敗してしまって……。「自己ベストに近いタイムで泳げば金メダルを獲れる」と自信を持ってリオに乗り込んでいただけに、このときのショックはかなり大きかったです。レース当日にいかにベストを持っていくか、肉体的にも精神的にも。そういうところの差が一番大きく出てしまったというところで、「なんてオレは弱いんだ」と思っています。
4個のメダルを獲得することができましたが、金メダルを獲るということを最大の目標にしていたので、4個のメダルよりも金メダルが欲しかったというのが、本当に心からの思いです。今大会、本当に、悔しい思いでいっぱいです。まだ気持ちの整理はついていませんが、これから4年後に向けて頑張るとしたら、レース当日、僕が、僕自身がどれだけベストな状態に持っていけるか、の部分。野口コーチに教えてもらいながら4年間やれば金メダルを獲る自信はあります。

津川「東京パラリンピック、頑張ります」

水泳帰国会見
一言一言、丁寧に話す津川の受け答えは、いつも場をなごませる

 100メートル背泳ぎ、1分3秒42、銅メダルでした。応援ありがとうございました。早くソフトクリームか、クレープ食べたいです。4年後の東京パラリンピック……頑張ります。

中島「コーチから『メダルを獲得しろ』と」

水泳帰国会見
10代らしい飾らない笑顔でメダル獲得の喜びを表現した中島

 予選は6~7位くらいで通過すればいいと思っていたんですが、2位となり、上位に食い込めて正直ビックリしました。コーチから「メダルを獲得しろ」と言われ、直前になってメダルを視野に入れたトレーニングをして、予選より順位はひとつ落ちましたが、銅メダルを獲得することができました。予選より決勝の方が速いタイムで泳げて、自分のベストタイムも更新でき、銅メダルを獲得できたことは、とても誇りに、満足に思っています。4年後の東京パラリンピックでは、メダルを考えず、世界記録を目指していきたいと思います。

峰村監督「現状、課題を洗い出し、先へつなげたい」

水泳帰国会見
峰村監督は2020へ向けての期待を語った

ここにいる4選手のメダルについては、とても内容のいいレースで獲得できたと思います。また、成田(真由美)が2大会ぶりに復活をして彼女自身の生涯ベストを更新し上位に食い込むいいレースをしてくれましたし、女子で初めて「34ポイントリレー」に出場することができました。ただ一方で、メダリストに関してはここにいる4選手のみになりますし、女子に至ってはメダル獲得に至りませんでした。目標に掲げていたロンドン大会のときの成績を越えるというところでは、金メダルも、メダル数も目標には達しなかったということで、その点に関しては、これから振り返り、現状、課題をしっかりと洗い出して、先につなげられるよう強化していきたいと思っています。

text & photos by NOB

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