2016年8月5日
リオパラリンピック直前! 企業のCMにも注目!
パラアスリートが企業のCMに続々登場
東京オリンピック・パラリンピックのスポンサー企業を中心に、パラスポーツやパラアスリートを取り上げるCMが増えてきた。
各社の担当者がCMに込めた思いとは? 出演中のあの選手のコメントとあわせて紹介しよう。
水泳の一ノ瀬メイを起用したTOYOTA
誰もいないプールでひとり黙々と泳ぐスイマー。プールを覗き込み、彼女の泳ぎに見入る少年たち。右腕の肘から先がない彼女は、少年たちの視線に気づき、余裕の笑顔でピースサインを送る——。パラリンピック水泳、一ノ瀬メイ選手の可愛らしさとハツラツとした魅力が光るこのCM、トヨタ自動車のWHAT WOWS YOUというシリーズのひとつで、放映開始以来「あの女の子は誰?」とネットなどで話題になった。
現役女子大生の一ノ瀬選手。実は、CM撮影日に起きたハプニングで、学内でもちょっとした「有名人」になっていたらしい。
撮影は、彼女が通う近畿大学にある50mプールで行われたのだが……。「撮影機材があまりに大規模なセットだったので、一般学生が誰と見間違えたのか、女優の有村架純さんが近大のプールでドラマの撮影をしている」というツィートが出回ってしまったという。普段はクラブ学生しかいないクラブセンターが、その日は1日中、一般学生で埋め尽くされてしまったとか。本人が印象に残ったこととして挙げたエピソードのひとつである。
またCMの中で、顔の近くに手を寄せピースサインをする一ノ瀬選手。そのキュートな姿に魅了された視聴者も多いのではないだろうか。その舞台裏について本人に尋ねたところ「はじめは笑うだけだったのですが、CM撮影の監督にピースをしてみてと言われ、やってみたところとても好評だったので、採用されました」と教えてくれた。
一方、制作担当者側にも尋ねた。トヨタマーケティングジャパンのプロモーション担当によると、「彼女の持つ不屈の精神とチャレンジ精神が、トヨタ自動車がスポーツ振興を通じて世の中に伝えたいメッセージと合致していた」というのが一ノ瀬選手起用理由だという。そして、彼女のスポーツ選手としての将来性のみならず、“マルチに活躍できる才能”を感じたとも。監督からの“ピースサインの”指示を受けて臨機応変に答えて演じた、先ほどの話もまさに!というエピソードだろう。今後の一ノ瀬選手のスター性にも注目したい。
リオパラリンピックを目前に控え、日々練習に励んでいる一ノ瀬選手。リオ、そして目標にしているという2020年の東京パラリンピックに向けて、さらに多くのファンに「WOW」を与えてほしい。
なお、8月5日より公開が始まった本シリーズの「WOW イチローが嫌いだ」篇、「WOW イチロ一&一ノ瀬メイ」篇も必見。リオパラリンピックに出場する陸上走り幅跳びの芦田創選手、車いすテニスの三木拓也選手バージョンも展開されてる。
車椅子バスケットボールの香西宏昭「只今、JALで移動中。」
日本航空は、車いすテニスの4大大会を始め世界を転戦する上地結衣選手などを起用してきた。最新のCMでは、車椅子バスケットボールの香西宏昭選手を起用した。
香西選手は、日本代表チームで中核を担うとともに、ドイツの車椅子バスケットボールチームでも活躍。世界を舞台に戦っている。
その起用理由について「常に上を目指し、果敢に世界の強豪チーム、選手と戦い続けている香西宏昭選手のプレースタイルや取り組み姿勢に共感した。リオパラリンピック日本代表に決定し、代表チームの副キャプテンも務める香西選手は、このリオパラリンピックでも世界の強豪を相手に活躍されると確信している。日々挑戦を続けている香西選手を、JALは応援します」とCM制作を担当した日本航空宣伝部談。
香西選手本人からは「CMが始まってから『がんばって』と声をかけていただくことが増え、多くの方の応援を感じています」とのコメント。さらに「リオではここまで築き上げてきた及川(ヘッドコーチ)バスケで、日本男子過去最高位の6位以上を目指し、頑張ってきます! そしてそれを次につなげ、2020東京ではメダルラウンドに確実に絡んでいけるような成長を遂げたいと思います!」と意気込みを語ってくれた。
CMではスーツ姿で飛行機に乗り込む香西選手。今度は、日本代表選手団のユニフォームでいよいよリオに旅立つ。
日本航空では「今後も、世界に挑戦するアスリートや著名人を企業ブランドCMに起用していきたい」と話している。
支える人たちに焦点を当てた日本生命
アスリートではなく、支える人たちに焦点を当てたのが、日本生命のコンセプトCM「始動」だ。
走るための義足を作る義肢装具士、車椅子バスケットボールのチームマネージャー、視覚障がいのランナーと「ロープ」でつながる伴走者……。CMには彼らの笑顔とともに、「勝ってほしい、だけじゃない」のメッセージが流れる。
「アスリートを支える人々の様々な想いと、保険を通じてお客様の人生をずっと支えていきたいという当社の想いの共通点である『支えること』をコンセプトとした」とは、日本生命保険相互会社東京2020オリンピックパラリンピック推進チームの担当者談。
「東京2020に向けてこの想いを日本中の皆さんとともに拡げていきたいというところから、スローガンを「『Play,Support.』〜さあ、支えることを始めよう〜」に設定した」と説明する。
ちなみに、放映開始直後にはUQIYO(ウキヨ)の歌うCM曲が「この曲は誰が歌っているの?」と話題になった。
新作には、車いすテニスの国枝慎吾選手を支える、コーチや車いす技師編も登場。人気デュオ「ゆず」の歌うCMソング「見上げてごらん夜の星を ~ぼくらのうた~」がグッと胸に迫り、いろいろなサポートがあるパラスポーツならではの奥深さに触れられるCMとなっている。
リオパラリンピックは9月7日に開幕する。リオで活躍した選手の中から、CMスターが生まれるかもしれない。
text by parasapo