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柔道の正木らが会見「この悔しさをバネに東京で金を」

リオパラリンピック柔道日本代表チーム帰国会見

リオ大会前半戦の日本選手団の戦いを盛り上げた柔道チームが14日夕刻、日本に帰国した。成田空港内で行われた記者会見には、銀メダルを獲得した男子60kg級の廣瀬誠(愛知県立名古屋盲学校)、銅メダルを獲得した男子66kg級の藤本聰(徳島県立徳島視覚支援学校)、同じく男子100kg超級の正木健人(エイベックス・グループ・ホールディングス)、女子57kg級の廣瀬順子(伊藤忠丸紅鉄鋼株式会社)ら4人のメダリストが出席。急速に競技レベルを高めている世界の強豪を相手に勝ち得た勲章を手に、その思いを語った。

リオ大会をもっての国際大会からの引退を表明している廣瀬誠は、「このメダルは自分一人で取ったものではない。僕一人ではここまで来れなかった。本当に最高のカタチで引退することができる」と、笑顔で感謝の思いを述べた。

アトランタ、シドニー、アテネで金、北京で銀と、これまで4つのメダルを獲得している藤本は、「この銅メダルにはいろんな人の思いがのっている。今まで獲ったメダルの中で一番重い」と、今回の銅メダルの価値を話した。

ロンドン大会に続く連覇が期待された正木は、「金メダルを取るために4年間やってきた。こういう結果になって申し訳ない」と悔しさをにじませた。

パラリンピックの柔道女子として初のメダル獲得を果たした廣瀬順子は、「課題の残る試合もあったが、今の自分の精一杯の力を出せたと思っている」と満足げな笑顔を見せた。

以下、帰国会見でのメダリスト、男子の遠藤義安監督、女子の井上五十八監督のコメント。

廣瀬誠「僕一人ではここまで来れなかった」

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廣瀬誠はリオ大会をもっての第一線引退を表明した

このメダルは一人で取れたものではないな、と。まず、家族、子供の支えがあったということ。それから、一緒に練習してきた仲間との日々の過程があったからこそということ。そして、遠藤監督、代表が決まってからお世話になった藤野コーチのご指導があってということ。今回男子メンバーは代表が決まってから短いスパンで何度も合宿を繰り返したんですが、お互い強くなろうという意識のもと、高め合ってきたということがあって、今までで一番いい仲間、一番いいコンディションで試合にのぞめたかなと。そこで取れたメダルということで、本当に僕一人ではここまで来れなかったなあ、と。僕はもう年齢的に、今回で引退しようと思っていますが、本当に最高のカタチで引退することができると思っているので、今は感謝の気持ちでいっぱいです。

藤本「今まで獲ったメダルの中で一番重い」

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41歳の藤本は2大会ぶりのパラで見事メダル獲得

私は4年ではなく8年間(ロンドン大会は国内予選敗退のため出場できず)。本当に長かったなと。その思いを一日にすべてぶつけて、自分としても本当によくメダルを獲れたなと思っています。そして、本当にこのメダルはいろんな人の思いがのっているなと感じています。ですから、とても重いです。今まで取ったメダルの中で一番重いです。やはり、そういう方々を喜ばしたいという思いで3位決定戦にも挑みました。メダルを獲れて、正直ホッとしています。早く徳島県に帰って、このメダルを見ていただいて、たくさんの方に喜んでいただきたいなと思います。

正木「この悔しさをバネに東京で金メダルを」

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金を逃した正木は終始、悔しさをにじませた

僕は金メダルを取るために、この4年間やってきたんですけれども、結果このように終わってしまって、やっぱり申し訳なさとか悔しさというものがこみ上げてきます。本当にこの大会というのはいろんな人に支えられて、サポートを受けて、選手同士お互い高め合いながら、挑むことができた大会なので、そういう方々には心から感謝しています。自分も準決勝でああいうかたち(開始7秒の大外刈りで一本)で負けた後、頭の中がボーっとしてどうしたらいいかわからなかったんですけど、まわりの先生や選手たちがしっかり気持ちを切り替えるように指導してくださったおかげで最後は勝つことができました。この悔しさをバネにして4年後の東京大会では金メダルを獲りたいと思っています。

廣瀬順子「今の自分の精一杯の力を出せた」

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廣瀬順子は夫婦二人三脚で臨んだパラで銅メダル獲得

今回リオへの出場が決まってから、本当に自分が想像していた以上にたくさんの方から応援の言葉をかけていただいて、それがいい意味でもプレッシャーになり、プレッシャー以上に力になって、銅メダルという結果が出たのではないかと思います。課題の残る試合もありましたけど、今の自分に出せる精一杯の力を出せたと思っています。旦那さんと一緒に柔道に取り組める環境を提供していただいている会社と、旦那さんのコーチがあったからこそ取れた、二人で獲った銅メダルだと思っています。これからも二人で頑張りますので、応援よろしくお願いします。

男子柔道の遠藤監督「選手たちとまた4年間頑張りたい」

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4年後の東京へつながる結果を残せたと語った遠藤監督

今回は男子につきましては、金メダルを含む全選手がメダル獲得という目標で臨みました。結果として金メダルは獲れませんでしたが、3選手がメダルを獲得して、メダルを獲れなかった2選手も、皆さんの応援のもと、必死に戦いまして、4年間積み重ねた成果をしっかりと発揮してくれたんではないかと思っています。決して満足はしていませんが、4年後の東京にしっかりとつなげられる結果を残せたのではないかと思っています。悔いが残らないと言えばウソになりますが、本当に涙の出るような、そういう戦い方をしてくれまして、選手たちとまたこれからの4年間頑張りたいと、そういう思いでいます。

女子柔道の井上監督「やっとスタートラインに着けた」

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女子監督就任2大会目にして1つの成果を残した井上監督

私が監督になったときに、女子ではまだパラのメダルがないということを聞いて、まずは何とかメダルを獲らせなきゃいけないなと思いました。リオでやっと、ですね、日本の女子で初めてのメダルを獲ってくれました。メダルを獲った瞬間というのは、よかったなというのと、やっとスタートラインに着いたなという気持ちでしたね。世界のスタートラインに着くには、まずメダルだということを肝に銘じてやってきましたが、やっと着けました。今回は、コーチ、スタッフ、まわりに方々の協力によって、こういうカタチでメダルを取ることができました。この場をお借りしまして、御礼申し上げたいと思います。ありがとうございました。

text & photos by NOB

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