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“火ノ玉JAPAN”が会見「日本ボッチャ界にとって大きな一歩」

ボッチャ日本代表リオパラリンピック報告記者会見

日本のボッチャ史上初の快挙となるパラリンピックのメダル獲得で、一気に注目度を高めた“火ノ玉JAPAN”ことボッチャ日本代表チーム。帰国1週間後の9月27日に日本財団ビルで行われた帰国会見には、キャプテンの杉村英孝(BC2)を筆頭に、木谷隆行(BC1)、藤井友里子(BC1)、廣瀬隆喜(BC2)のチーム戦準優勝メンバー4人がそろって参加。メダル獲得の喜びなどを語った。

以下、4選手、河合俊次監督、村上光輝ヘッドコーチのコメント。

杉村「日本ボッチャ界にとって大きな一歩となったと思う」

ボッチャ会見
“試合巧者”火ノ玉JAPANの司令塔──杉村はキャプテンという大役を見事に果たした

準決勝で勝ってメダルが確定した瞬間は、素直に嬉しかったです。相手のポルトガルはロンドン大会のときにベスト8で負けていた相手なので、そこに大差で勝てたということもすごく嬉しかったです。今大会は、2020年の東京パラリンピックに向けて、本当に大事な大会だと思っていたので、そこへつなげるためにもメダルが必要だと考えていました。今回の結果は、日本ボッチャ界にとって大きな一歩となったと思います。──ですが、銀メダルというのは“負けてのメダル”ということで悔しさも大きいです。個人戦でも悔しい負け方をしていますので、これからの4年間、2020年に向けて、また全力で取り組んでいきたいと思います。

藤井「帰国して『自分たちはスゴいことをしたんだなあ』と思った」

ボッチャ会見
ロンドン大会に続くパラ出場を果たした藤井は、この4年間の進化をリオの舞台で見せた

火ノ玉JAPANチームみんなが一丸となって練習してきたことを、パラの競技の場でしっかり出せたということが、この銀メダルにつながったのだと思います。本当に嬉しい思いでいっぱいです。帰国して地元に帰り、多くの皆さんに出迎えていただいたときに「自分たちはスゴいことをしたんだなあ」という思いが湧いてきて、本当に皆さんの応援や支援のおかげで獲れたメダルということで、あらためてその重さを感じています。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。自分はボッチャを知って生き方が変わったという人間なので、これを機に、日本にボッチャという競技をもっと広めていけたらと思っています。

木谷「メダルが確定したときは8年分の嬉しさがあった」

ボッチャ会見
藤井と並ぶ日本のBC1のトップ選手である木谷は、スーパーサブとしてメダル獲得に貢献した

私はサブということで、出場の機会は少なかったのですが、試合に出ている3人と一緒にプレーしている気持ちで声を出していましたし、いつでも出られるように準備をしていました。2大会ぶりのパラリンピック出場でしたが、前回の北京大会のときは予選落ちだったので、メダルが確定したときは8年分の嬉しさがありました。ボッチャは重度障がいの方でも自分で考えてプレーできるスポーツ。他の車いすスポーツで一等賞を獲れず挫折したこともある私が、一等賞を獲れて、世界最高峰の舞台でメダルを獲ることもできました。これからもまた、からだの続く限り頑張っていきたいと思います。ありがとうございました。

廣瀬「やはり決まった瞬間は最高に嬉しかった」

ボッチャ会見
スーパー投球を連発した廣瀬の雄たけびは、火ノ玉JAPANを大きく勢いづけた

4年間かけてやってきたことを、みんなですべて出そうという気持ちで、選手、スタッフ一丸となって戦った結果、念願の、チームでのメダルを獲得することができたので、やはり決まった瞬間は最高に嬉しかったです。応援してくださった方、サポートしていただいた方……本当に多くの方に感謝しています。帰国のとき、地元の方だったり、職場の方だったり、多くの方に出迎えていただいて。ゲートを出た瞬間、皆さんの姿が見えたときはものすごく感動しました。4年後に2020年東京がありますので、選手として出場し今回以上の結果を残せるように、これからまた、いま以上に自分を進化させていきたいと思います。

村上ヘッド「実力切迫の中、選手は練習の成果を出してくれた」

ボッチャ会見
戦術に長けた村上ヘッドコーチのリードのもと、BC1/2チームは世界レベルに成長した

今回のBC1/2チーム戦のエントリーは12チーム。優勝したタイが実力的に抜きん出ていて、そのほかの11チームはほぼ横並び。どのチームが上がってもおかしくないという状況でした。日本としては、オランダとGBと戦った予選リーグを1位通過し、決勝トーナメントでいいブロックに入ったのが大きかったですね。実力が切迫した大会でしたが、選手は練習の成果を出してくれて、決勝進出を果たし、タイにはおよびませんでしたが、銀メダルという結果を残すことができました。個人の最高順位が5位というチームで銀メダルを獲得できたというのは、チーム力として高く評価できると思っています。

河合監督「ボッチャを少しは知ってもらえたかな、と」

ボッチャ会見
ムードメーカーでもある河合監督の一言一言がチームの雰囲気を明るくした

今回、BC1/2チーム、ヘッドコーチも含めて、火ノ玉JAPANでメダルを獲ったということで、ボッチャというものが少しは日本国内で知ってもらえたかな、東京へ向けていい弾みになったかな、と思っています。今後ますます、ボッチャという競技を多くの方に知っていただき、2020年の東京大会の会場が満員になり、その中で金メダルを獲れるようなチームを作り上げられるように、今年の8月には全国肢体不自由児特別支援学校のボッチャ甲子園という大会も行いましたが、「私にもできるんじゃないか」、「僕にもできるんじゃないか」と思ってくれた子どもたちなど、新たな選手の発掘にも力を入れていきたいと思います。

text & photos by NOB

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