パラサポ

抜群のチームワークで掴んだ快挙、ボッチャ日本代表がチーム戦で史上初の銀メダル

格上のライバルたちを次々と撃破

リオパラリンピックのボッチャの混合団体(BC1-2)で、世界ランキング7位の日本代表が銀メダルを獲得した。パラリンピックでのメダル獲得は史上初の快挙。個人戦ではたとえメダルに手が届かなくても、メンバーの個性を活かした戦術で世界と勝負できるのがチーム戦だ。それを証明してみせたのが日本だった。司令塔の杉村英孝を中心に、緻密な戦略と正確な投球技術でゲームメーク。格上のライバルたちを次々と撃破する抜群のチームワークは、過去2大会でメダルに届かなかった悔しさをバネに築いてきたものだった。

日本は予選で2連勝し、プールBを1位通過。準々決勝では中国に3点のリードを追いつかれて5-5に。悪い流れでタイブレークに突入したが、エースの廣瀬隆喜が力強い投球で、中国のボールを弾き飛ばしたうえに、ジャックボールに近づける完璧なショットを見せ、勝利に導いた。

準決勝では、前回ロンドン大会の準々決勝で敗れた世界ランキング5位のポルトガルと対戦。2点リードで迎えた第3エンド、日本は巧みにジャックの前にボールを集めると、最後の一投で廣瀬が勝負に出る。相手のボールにピンポイントで当てて動かすと同時に、自分のボールをジャックに寄せ、大量4点を獲得した。その後、さらに1点を追加した日本はポルトガルを突き放して8-5で勝利。宿敵にロンドンのリベンジを果たしたと同時に、史上初の決勝進出を決めた瞬間だった。

先制するも最強の相手に敗れた決勝戦

決勝の相手は、世界ランキング1位で前回金メダルのタイ。個々の能力に長け、ミスが少ない最強の相手だ。日本は「やってきたことをすべて出し切ろう」と声をかけあい、決戦に臨んだ。まず、先制したのは日本。第1エンドで冷静に試合を組み立て、1点を取る。しかし、第2エンドでタイに逆転を許すと、第3エンドはジャックの前にボールを固められ、一気に4点を奪われた。その後も地力に勝るタイに次々と得点され、4-9で敗れた。

日本がロングボールやジャックもろとも弾き飛ばす投球で奇襲をかけても、崩れなかったタイ。杉村は「日本のリズムでできなかった。タイは強かった」と唇をかみながらも勝者を称えた。

日本ボッチャ界の大きな一歩

表彰式では、首にかかった銀メダルを何度も見つめ、会場の声援に手を挙げ応える日本のメンバーの姿があった。選手・関係者が一丸となって、競技の知名度向上を目指してきただけに、「このメダルはボッチャ界の大きな一歩です」と杉村は万感の思いを語る。そして、「仲間と切磋琢磨して結果を残せたことを誇りに思う。それで負けたことは悔しいが、この経験は日本にとってプラスになる」と前向きに語った。

帰国後、村上光輝ヘッドコーチは報道陣からの取材に答えた。メダル獲得の要因を「リオパラリンピック前の大会で安定して結果を残してきたこと」「個の力が向上したこと」と力強く話し、さらに金メダルのタイの強さの理由について、ボッチャに似たペタンクが普及していることを挙げ、国民が戦術に詳しく、常に厳しい目で見られていると話している。

「ボッチャをブームでは終わらせたくない」と選手たちは口をそろえる。2020年に日本のボッチャがさらなる飛躍を遂げるために、選手の新陳代謝が重要になる。関係者らは、メディアへの露出の増加に手ごたえを感じつつ、今後も継続して取り上げてほしいと訴えていた。

text by Miharu Araki,Asuka Senaga,photo by X-1

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